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*途中性描写を含みます 本当はずっと前、ヒバリを好きになった頃から分かっていた。 馴れ合いが嫌いで群れるのが嫌いで。ただ一人でいることを 望んでいたのは誰も信じられず心を開けなかったからじゃない。 ヒバリにとって、ひとりでいるのは当たり前だったのだ。 自分がツナたちと一緒にいたように。 愛しいなんて言葉を持っていないヒバリはそれを唐突に与え られた時、一体どれほど戸惑ったのだろう? 根底を 変えてしまっても手放せない思い。 それをヒバリに教えた人がただただ羨ましいかった。 「ぁ、ふ…ッ…あぁッ…」 口の中で可愛がっていたヒバリがトロトロと苦いものを少し ずつ溢していく。シーツを足で掻いて震えながら耐える姿は 胸がどうかするぐらいに愛しい。それでも可哀想なくらい張 りつめたヒバリにもういいよ、と舌で促しても首を振るばか りで一向に出してくれない。粘ついた音がするようにわざと してみても駄目だ。喉を震わせ、ますますシーツを強く握り 締める。 「気持ち良くねぇ?」 「…黙、れ…ッ」 「いいじゃん。教えてくれよ」 「…死ねば…」 「セクハラじゃねぇから」 答える間は愛撫を待ってやる。結果的にじらしてるのかもし れないが、懸命に威嚇する濡れた瞳を俺もまっすぐに見返し た。早いペースで上下する胸は思考するための血を必死に脳 に送りこんでいるようだった。 でも、白い体にワイシャツを一枚絡ませただけのヒバリは熱 い息を色っぽく吐いた。もちろんそうする意図はなく、き っと今はどんな風にやっても扇情的なのだ。 「…へたくそ」 「うわー、採点厳しいのな」 分かったら、やめろと言うのを無視してもう一度、ヒバリを くわえた。トロトロの液をたくさん出したヒバリは正直もう いくと思う。 それはやっぱり気持ち良くなければそうはならない。と、言うかそうなってるってことは気持ちのだ。 ひ、と短い悲鳴で背中をそらしたヒバリの反応の良いところ をキレイになぞった。先の少し窪んだ所を舌で擽って無理に 差し込むようにぐりぐりとえぐってやれば信じられないよう な甘い声をだした。やや遅れて溢れてきた苦いものにヒバリ が射精したのだと気づいた。 「ヒバリ」 飲み込めば喉に絡み付く。酷く濃い。 ヤリタイ盛りの小僧じゃあるまいし。淡白なヒバリが、一 体どれぐらい何もなかったのか。 快感の余韻にぴくぴくと震える肩を抱けば、また力のない腕 が抵抗をした。でもそれは俺を押し退けたいのか、この快感 を押し退けたいのかもうわからないくらいで。 弱々しく睨む瞳の奥は確かに快楽を期待している。 「満足、だろ…」 「いやだ」 「いやだ、じゃないよ…離して」 「ヒバリ」 「…咬み殺されたい?」 「俺にしろよ」 昼間会ったあの人の隣にヒバリはいなくて、その場所を埋め るようにキレイな女の人が立っていた。 芯が強くて、頭のいい。ボスにはもったいないと良く会う髭 のおっさんが笑い飛ばしたように、よく笑う人だった。 でもそれだけだ。そこにはヒバリの薄く広がるような笑みが なかった。 こうなるのはお互い分かってたはずだと小僧にも言われたし、 ツナも同じようなニュアンスの事を言っていた。 「俺のこと好きになれよ」 けど、誰も思ってなかったことがまだあった。 ヒバリの中にはこんなにもあの人が残っているのだ。 もうやめてしまえばいい。 何かに囚われ続けるなんて そんな、ヒバリらしくないこと 髪を撫で、そのまま頬に滑らせると切長の綺麗な瞳は魔法に でもかかったかのように静かに伏せられる。額に落とした接 吻けは僅かな汗の味がして、胸が苦しくなった。 頬骨、耳たぶと口唇を滑らせていく刹那、喘ぎではない声で ヒバリが呟いて。シャツを中途半端にぶら下げた手がぎゅっ と握られて、俺もその上から同じようにヒバリの手を握った。 真っ白な首に噛みつくと小さく啼いて、 消え入りそうな声でディーノさんの名前を 呼んだ。 その後はほとんど覚えてない。 長らく性的欲求と縁がなかったらしいヒバリは俺をたくさん 感じて、俺のでたくさんイッたけど、結局最後まで俺の名前 を呼ばず、問い続けた言葉にも答えてくれなかった。 いつの間にソファからベッドに移ったかも思い出せないのに ヒバリがイく時の泣きそうな顔と声が頭から離れなかった。 「君なんかいらないよ」 背中を向けて、眠っているのかと思った人のかすれた声が聞 こえた。もうキレイとは言いがたいシーツの上にはヒバリだ け残っている。男二人じゃ狭いというだけじゃなく、なんと なく自分も残る気がしなかった。冷たい床にそのまま座り、 気持ちだけヒバリの側に持っていく。 「ディーノだっていらない」 「好きなのに?」 「ディーノはもう僕のものじゃないもの」 遠く、開け放されたドアの隙間からリビングが見える。ソ ファの側に散らばったシャツとネクタイが、数時間前まで自 分たちがあそこにいたことを教えてくれた。 きっといろんなものでドロドロだから、後でしっかり殴られ るんだろうと、ぼんやり考えた。 「そんなのズリィよ、先パイ」 ベッドの軋む音がして、振り返ればやっぱりヒバリは背中を 向けたままで。シーツを払いのけると昨日の格好そのままで 体を起こす。 白い背中には無我夢中でほとんど覚えていない行為の名残が 転々としている。 もちろん羽なんかなくてただの細くて華奢な背中だ。 腕を伸 ばせば、こんな風に簡単に包めてしまう。 「何の話」 すべてを精算し、洗い流す雨 遠いむかし、指輪をもらった時に教えられた。 「俺の仕事、取んなって話」 だから、だからさ その雨は止ませてくれよ 「泣くなよ」 雲に隠れてなんか啼かないで 雨がいるなら、俺が降らすから。 End. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 深海魚のプロローグ的な話。 ファミリーのため雲雀と分かれたディーノと自分から離れた雲雀 back |